内容証明利用の注意
内容証明を利用するにあたっての留意事項
文書による意思表示は言葉を発する以上に責任が重くなることもあります。
ですから内容証明の作成に当たっては慎重を期す必要があります。
もし差出人が内容証明の発送後にその文書内容を否定するのであれば、改めてその旨を内容証明で発送することになるでしょう。
また、内容証明による主張に法律上の根拠が無かったり、事実と相違していれば当然に相手から攻撃を受けます。
例えば、慰謝料の請求ですと相手方が不法行為を行った事実がなければなりません。
内容証明郵便を作成しても受取人に都合の良いものになってしまっては意味がありません。
ですから相手に対する主張が正当なものであることを証明するためにも、証拠の確保や事実関係の再確認、そして法律に照らすなど充分に検討して書き上げることが必要です。
内容証明を利用しない方が良い場合
たとえ問題が発生していても相手の誠意が感じられるような場合は、内容証明を利用して請求などの通知を行わない方が良いときもあります。
そのような場合には、契約書や示談書、念書などを利用して相手方と折衝するとよいでしょう。
また、内容証明は宣戦布告のようなものですから、「相手と争いたくない」、「相手を刺激したくない」など、相手方の性格や内容証明の発送後に相手がとるかもしれない行動が、差出人にとってマイナスになりそうであれば、内容証明以外の方法を考える必要があります。
たとえば、裁判所へ調停を求めたり、行政機関(警察など)を利用するなどです。
その他、ご相談でよく伺うのが、「親しい間柄であったり、仕事上袂を分かつことができない関係であるがために、正当な請求ができない・しづらい」というお話です。
将来に向かって相手と継続して取引やお付き合いをしたいのであれば、「悔し涙を飲む」ことも選択肢の一つかもしれません。
しかし、現実問題として実際に資金繰りに困っていたり、相手の不誠実な対応が将来強く悪影響を及ぼす恐れがあるのであれば、時には「意を決する」ことも必要かもしれません。
このあたりの最終的な判断はやはり、ご本人の決断です。
内容証明作成時の確認事項
以下の事項をできるだけしっかりと確認・考慮したうえで内容文書を作るようにすると、受取人からの反論等に備えるための準備にもなります。
- 1、事実関係の確認
- 2、証拠等の確認
- 3、差出人の権利・義務の確認
- 4、受取人の権利・義務の確認
- 5、関連する法令・判例の確認
- 6、受取人についての考慮(間柄、性格、特別事情など)