少額訴訟とは |内容証明利用の手引き|
少額訴訟とは
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払請求を目的とする場合に提起できる訴訟です。
あくまでも「金銭の支払い」を目的とする場合であって、「物の引き渡し」を求めるために提起することはできません。
少額訴訟はその名の通り、少額の金銭の支払いを求めるのものです。
債権が少額すぎて回収費用をかけられない場合に利用しやすい制度です。
また、裁判は1期日(1日)で終わることを原則としています。
尚、相手の住所や居所がわからない場合は少額訴訟を提起しても通常訴訟へ移行となります。(民訴法373条3項3号)
少額訴訟の申し立て先
少額訴訟は簡易裁判所へ提起しますが、管轄は次のようになっています。(一般的な例)
債務者への請求(一般)
債務者の住所地や居所を管轄する簡易裁判所
事業所や営業所に関するもの
事業所や営業所を持つ相手であれば、その事業所または営業所における業務に関するものは、その所在地を管轄する簡易裁判所への提訴も可能です。
少額訴訟の決まりごと
少額訴訟は1期日で終わることを原則としているため、審理を早くするために次のような規定があります。
少額訴訟による裁判を求める申し出
裁判所に提訴するとき、「少額訴訟による審理と裁判を求める」旨の申述をする必要があります。(民訴法368条2項)
尚、少額訴訟は1年に10回までしか利用できません。
証拠調べ
証拠は即調べることができるもののみ利用できます。
書類の他、証人の取り調べもできますが、証人に証言を依頼するのであれば口頭弁論に一緒に来てもらう必要があります。
反訴の禁止
反訴とは、訴えられた被告(債務者)が、訴えた原告(債権者)をさらに訴えることです。
これを認めてしまうと、1期日で審理を終了することは困難ですから。
少額訴訟の判決
判決の言い渡しは、原則として口頭弁論が終わると直ちにされることになっています。
(民訴法374条1項)
尚、少額訴訟で原告が勝訴しても、被告の資力などを考慮して特に必要があるとされる場合には、裁判所は、判決の言い渡しから3年を超えない範囲で分割払いを認めたり、無事に分割払いを完了したときには遅延損害金を免除する旨を定めることができます。(民訴法375条1項)
この決定に対して原告は不服を申し立てることができません。
少額訴訟判決への不服
少額訴訟の判決に不服がある場合、「異議」を申し立てることになります。
この場合、訴訟は、通常の裁判手続きで審理されることになります。
少額訴訟の手数料
少額訴訟の手続きに必要な費用は、「訴訟手数料」+「書類の郵送料」です。
この金額は、勝訴したときには被告の負担とすることができます。
訴訟手数料は印紙によって納めます。
裁判手数料についてはこちらのページをご覧ください。
少額訴訟の手続き
少額訴訟の提起に必要な書式と記載例は、次の裁判所のウエブサイトをご覧ください。
※行政書士は権利義務や事実証明に関する文書の作成と官公署の手続きを代理することができますが、裁判所に関わる書類作成や手続き、また、相手との代理交渉を行うことは法律上できません。もっとも、支払督促や少額訴訟は難しいものではありませんから、債権が少額なために費用を極力抑えたいような場合には、ご本人による手続きを強くお勧めします。