消滅時効について |内容証明利用の手引き|
消滅時効 について
消滅時効とは、一定の時間(期間)を経ることによって債権などの権利が無くなってしまうことです。
例えば、売掛金や売買代金などを債務者が支払わない場合、そのまま放って消滅時効期間を経過すると、相手方が時効を援用すれば請求できなくなります。
消滅時効援用通知
債権が消滅時効にかかっても、債務者が消滅時効を援用しない限り、債権者は支払請求を続けることができます。
債務者の方が消滅時効を援用するのであれば、証拠が残る内容証明郵便を利用することが必須となります。
消滅時効の期間
消滅時効の期間は、権利によってそれぞれ規定があります。
民法上の一般債権の消滅時効は10年で、商取引による債権の消滅時効は5年です。(民法167条、商法522条)
尚、民法には特別に短い時効期間が定められている債権もあります。
この短期消滅時効の債権は、確定判決によって債権が確定すると10年より短い消滅時効の定めがあっても10年となります(民法174条の2)
また、個人であっても利益を得て譲渡する意思を持ってする動産や不動産の売買取引は商取引になります。(絶対的商行為 商法501条)
消滅時効の期間例については、次のページをご覧ください。
消滅時効の起算点
債権には、以下のように消滅時効が進行開始する起算点があります。
尚、所有権が消滅時効にかかることはありません。(民法167条2項)
債権の種類 | 起算点 | 事 例 |
---|---|---|
確定期限付きの債権 | 期限到来時 | 支払日が決まっている場合 |
不確定期限付きの債権 | 期限到来時 | 期限到来は確実だが、いつかは分からない債権 (死因贈与等) |
期限の定めのない債権 | 債権成立時 | 債務不履行による損害賠償請求権 |
不法行為による 損害賠償請求権 | 被害者が、損害と加害者の両方を 知った時 | 交通事故、器物損壊、傷害等 |
消滅時効の進行を止める方法
消滅時効を止めるには次の方法によります。(民法147条)
債務者の承認
債務者が債務があることを承認してくれると消滅時効が中断します。債権者にとっては楽な方法です。
口頭での承認も有効ではありますが、後々のために書面にしておきます。
尚、未成年者や被後見人による債務の承認は、取り消しが可能となりますので、法定代理人の同意が必要です。
請求
請求とは、請求書を債務者に渡すことではありません。
「裁判上の請求」のことです。
つまり、訴えるということです。
この場合、訴状提出時に時効が中断します。
尚、訴えの却下や取り下げの場合は、時効中断の効力が生じません。
差押え、仮差押え、仮処分
裁判所に差押え等の手続きを申し立てると時効が中断します。
催告
催告とは、債務者に口頭や書面により請求する方法です。
時効期間が迫っている場合に有効ですが、催告後6ヵ月以内に裁判上の請求や支払督促の申し立て等を行わなければ、時効中断の効力が生じません。
尚、時効期間の延長は一度限りです。
催告は口頭や普通郵便で行うと証拠が残りませんから、内容証明を利用します。